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慢性炎症とは?生活習慣の対策について
2022/02/01
慢性炎症とは?
そもそも炎症とは、細菌やウイルスといった異物や異常が発生した細胞を排除しようとする、体の反応のことを言います。病原体などが体内に入り込み免疫系が刺激を受けると、体を守る働きをする白血球などの免疫細胞が働いて、体の傷ついた部位が赤くなったり、腫れたり、熱をもったりします。
この炎症反応は一時的なもので、通常はしばらくすれば治まります。
しかし、近年の研究では、炎症を起こす物質の種類や量によっては、炎症がなかなか治まらない「慢性炎症」というやっかいな状態になってしまうことがわかってきたのです。
慢性炎症とは、一過性に治まるはずの炎症反応が完全に治まり切らずに弱い状態でだらだらと長引き、炎症反応にブレーキをかける機能も十分に効かなくなってしまう状態です。症状が軽いため見つかりにくいのですが、疾患につながったり悪化させたりする原因にもなります。
慢性炎症が起きると、日常生活にどんな影響がある?
はっきりとした自覚症状がないまま弱い炎症が数週間から数か月、ときには何年にもわたって持続してしまう慢性炎症。
さらに最近の研究では、認知機能や自立した生活を長く保っている長寿の高齢者は炎症の度合いが低いことがわかりました。慢性炎症が老化や健康寿命に深く関わっているのではないかといわれています。
それでは、自分の体の中で慢性炎症が起こっているかどうかを知るにはどうしたらよいのでしょうか?
炎症が起きているかどうかを突き止める一般的な指標に「CRP(C反応性タンパク)」があります。体の中で炎症や細胞などの組織破壊が起こっていると高値になります。
従来のCRP検査では局所的な炎症と慢性炎症とを区別して検出することはできませんが、「高感度CRP」という検査であれば、通常検出できない微量なCRPを検出できるため、慢性炎症が起こっているかどうかがわかります。
慢性炎症が起こってしまう原因は?
①肥満・運動不足
カロリーのとりすぎや運動不足によって肥満になってしまうと、蓄えられた内臓脂肪から炎症を引き起こす物質が分泌されるため持続的な炎症が起こるといわれています。さらに最近の研究では、カロリーの高い食事をとると脂肪組織が刺激されて炎症反応が続き、それが全身の細胞に働いて血糖値が下がりにくくなるということがわかっています。
また血中の悪玉コレステロール濃度が高まると、血管に炎症を引き起こしてしまいます。一方、善玉コレステロールには余分なコレステロールを回収し、肝臓に戻してくれる働きがあります。中性脂肪は悪玉コレステロールに変化するため、高カロリーの食事や運動不足は悪玉コレステロールを増やすことになります。悪玉コレステロールが増えると善玉コレステロールが減り、血管に炎症が起こってしまいます。中性脂肪は食物由来のものなので、油分や糖分のとりすぎや運動不足による肥満には注意が必要です。
②喫煙
喫煙もまた、善玉コレステロールを減らしてしまう要因となり、慢性炎症が起こる原因につながります。
③アルコール
中性脂肪は、アルコールの摂取量に比例して増えてしまいます。そのため、お酒の飲み過ぎは慢性炎症を引き起こす原因につながります。
慢性炎症の対策方法は?
慢性炎症そのものを解消するための治療法は、残念ながら、今のところはありません。慢性炎症につながる生活習慣を改善することが、健康に過ごす近道となります。
①食事の改善
・効果的な栄養素を積極的にとる
中性脂肪を減らすためには、脂質や糖質のとりすぎを控えて、n-3系多価不飽和脂肪酸(DHA、EPA、α-リノレン酸)を含む食材を積極的にとるとよいでしょう。DHAやEPAはサバやマイワシなどの青魚などに、α-リノレン酸はアマニ油やえごま油などに多く含まれています。α-リノレン酸は酸化しやすいので、加熱せずにドレッシングやマリネなどに使い、早めに使い切るようにしましょう。脂質のとりすぎにならないように、適量を心がけて。
・飲酒は控え目に
アルコールは適量を心がけましょう。厚生労働省の「e-ヘルスネット」には以下の記載があります。
わが国では、従来、基準飲酒量として「単位」を使用してきました。1単位はおよそ日本酒1合に相当し、約20gのアルコール量です。しかし、基準飲酒量は飲酒の最小単位と捉えられることが多く、この量は関連問題の予防の観点から多すぎると考えられます。また、国際的にも、わが国の「単位」は突出して高いため、近年、1ドリンク = 10gという基準量が提案され、使用されています。
(引用:厚生労働省-「e-ヘルスネット」-「飲酒量の単位」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-02-001.html)
純アルコール10gとは、具体的には「ビール:コップ一杯程度」「ワイン(12%):ワイングラス(120ml)程度」「ウィスキー(40%):シングル水割り(原酒で60ml)」が目安です。
・ターメリック(ウコン)を食事に取り入れる
カレーの黄色い色素のもとであるターメリック(ウコン)には、炎症を抑えるはたらきがあることが知られています。さらにターメリックエキスを使った実験では、慢性炎症を改善する可能性が示されているうえ、慢性炎症が関与するといわれている血糖値を改善する効果がある可能性が示唆されています。
カレーなどターメリックを使った料理を食べるほか、サプリメントを活用するのもよいでしょう。
ターメリックを取り入れたレシピについては、以下の記事で詳しくご紹介してます。
【関連記事】カレーでおなじみ、ターメリック(ウコン)とおすすめの摂り方をご紹介
②適度な運動
適度な運動習慣をつけることも大切です。1日30分以上の有酸素運動をできれば毎日、少なくとも週3日ほど行うとよいと言われています。1日30分以上というと大変に思えるかもしれませんが、たとえば10分の運動を1日のなかで3回に分けても大丈夫。運動の強度としては、普通に歩く程度か少し速い速度でのウォーキングが目安です。
あまり運動する習慣がなかった方は、自転車で買い物に行ったり子どもと遊んだりするなど、普段の生活のなかで少しずつ体を動かす時間を増やしていくとよいでしょう。体を動かすと気分転換にもなり、ストレスの解消にもつながります。
③ストレスを減らす
避けられるストレスを避けて、心を穏やかにして過ごすことも大切です。ストレスの原因には、主に物理的なもの(暑さや寒さ、騒音、混雑など)、化学的なもの(公害物質、薬物、息苦しさなど)、心理的・社会的なもの(激務や人間関係、家庭の問題など)の3つに分けられます。物理的なものや化学的なストレスを取り除くことは比較的に簡単かもしれませんが、人間関係などによる心理的・社会的なストレスからはなかなか逃れることが難しいかもしれません。ストレスの原因は何なのかを見つめ直し、遠ざけたり、気分転換の時間を意識的に増やしたりするとよいでしょう。
慢性炎症は自覚症状がないまま進んでいくという性質もあり、気をつける必要があります。
心身の健康を維持し、健やかな毎日を送るためにも、カロリーのとりすぎやアルコールなどの嗜好品はほどほどにとどめ、栄養バランスに気をつけながらストレスフリーに過ごしていきましょう。また、現在喫煙中の方は禁煙を目指しましょう。