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ストレスの原因は?予防と解消の方法
2021/07/20
ストレスとは?ストレスの症状とは?
そもそも「ストレス」とは何なのでしょうか? 「ストレス」という言葉自体は、もともと物理学の分野で使われていました。外側からの圧力によって、物にゆがみが生じた状態を指します。風船を例にとると、風船を手で押さえる力をストレッサー、それによって風船がゆがんだ状態をストレス反応といいます。
今回のテーマである医学や心理学の分野におけるストレスでは、外部から心や体へ与えられる刺激をストレッサー、それによって心や体に起こるさまざまな反応をストレス反応といいます。
ストレッサーとしては「物理的ストレッサー」「化学的ストレッサー」「心理・社会的ストレッサー」の3つが知られています。ふだん私たちが「ストレス」と呼んでいるものは、主に「心理・社会的ストレッサー」です。
ストレス反応は、心理面、身体面、行動面の3つにわけられます。心理面のストレス反応は、悲しみ、うつ感、不安感、イライラ感、緊張感、無力感、無気力などがあります。身体面のストレス反応には、食欲がなくなる、体重が減少する、寝つきが悪い、朝早く目が覚める、動悸がする、血圧が上がる、手や足の裏に汗をかくことなどがあげられます。行動面のストレス反応には、消極的になる、周囲との交流を避けるようになる、飲酒量・喫煙量が増える、身だしなみがだらしなくなる、落ち着きがなくなる、仕事でのミスや事故、ヒヤリハットが増加することなどがあります。
ストレスの原因とは?
実際にどれくらいの人がストレスを感じているのでしょうか? 厚生労働省の調査(平成30年労働安全衛生調査(実態調査))では、仕事や職業生活に関することで、強いストレスを感じている事柄があると回答した人の割合は58.0%に達しました。年代別でみると、20歳代57.6%、30歳代64.4%、40歳代59.4%、50歳代57.0%、60歳以上39.2%と、働き盛り世代のストレスが高いことがわかります。男女別では男性が59.9%、女性が55.4%で、男性でやや多い結果でした。
ストレスの原因にはどのようなものがあるでしょうか? 同じ調査によると、ストレスの内容として最も高かったのが仕事の質・量で59.4%、次いで仕事の失敗、責任の発生などが34.0%、対人関係(セクハラ・パワハラを含む)が31.3%でした。
どのようなきっかけでストレスが起こるのでしょうか? さまざまな出来事がきっかけになる可能性があります。たとえば、仕事に関しては、セクハラやパワハラなど人間関係のトラブルはもちろん、昇進や配置転換・出向など役割・地位の変化もストレスを引き起こす可能性があります。そのほか、長時間労働や人事異動、トラブル発生などによる仕事の質・量の変化、仕事上の事故や失敗による重い責任の発生などもあります。仕事以外では、病気や家庭の不和、対人トラブル、事故や災害など自分の出来事だけでなく、家族・親族・友人の死や病気・非行など自分以外の出来事もきっかけになり得ます。また、多額のローンや借金、収入減少などの金銭問題、単身赴任、引っ越しなど住環境・生活環境の変化もあげられます。こうした出来事をきっかけに、ストレスが大きくなると、先ほどご紹介したストレス反応をきたします。ストレスにうまく対処するための第一歩は、自分のストレスに気づくことです。そのため、ストレスを感じたときには、こうした出来事がなかったか振り返ってみるとよいかもしれません。
ストレスが溜まるのを予防するには。ストレスを解消するには
ある程度のストレスは、適度の興奮や楽しみをもたらしますが、ストレスが度を超すと心や体が適応できなくなり、心身に様々な不調を引き起こします。そのような状況に陥るのを避けるためには、自分に合ったストレス対処法を見つけておくことが大切です。
ストレッサーに対処することを、ストレスコーピングといいます。ストレスコーピングの方法は、問題焦点コーピングと、情動焦点コーピングの2つに大きく分けられます。問題焦点コーピングは、ストレッサーに直接働きかけて、それを変化させて解決を目指します。一方、情動焦点コーピングは、ストレッサーそのものではなく、ストレッサーに対する考え方や感じ方を変化させて解決を目指す方法です。ストレッサーが対人関係である場合を例にとると、問題焦点コーピングでは、相手の人と話し合うなど直接働きかけますが、情動焦点コーピングでは、相手の人と接した時の自分の考え方や感じ方のほうを変化させることにより解決を目指します。
ストレスに対処するには、簡単な体操やストレッチングも有用な方法です。大量の仕事や複雑な人間関係など、ストレスがかかる状況では交感神経が過敏になるため血行が悪くなり、筋肉がこってしまうためです。筋肉のこりによる不快な症状がストレスをさらに高めてしまうことも少なくありません。
肩の上げ下げ
息を吸いながら肩を上げて、息を吐きながら肩をストンと落とす
背中のストレッチ
両手を組んで前方に伸ばす。おへそをのぞき込むように背中を丸める
腰のストレッチ
イスに座り、背筋を伸ばして上半身を後ろにひねり、イスの背もたれをつかむ
首筋のマッサージ
両手の親指を首筋に当て、マッサージする
首回し
腰に手をあて、首を前後左右にゆっくり回す
上半身のストレッチ
イスに座ったまままたは立ち上がって、両手を組んで上に伸ばす
また、ストレスの原因と物理的に距離を置くことも効果的です。職場であれば、いったんその場から離れて、できれば部屋を出るとよいでしょう。トイレは、よい気分転換の場となります。個室に入って、目を閉じて深呼吸すると自分を落ち着かせることができます。そのほか、仲の良い友人たちと話して、笑ったりできるとよいですね。可能であれば、デスク周りの環境を、自分が落ち着けるように整えるのも有効です。休憩時間に音楽を聴くのも気分転換になります。
職場以外では、仕事に関係ない趣味を持ち、自然に触れ合う機会を増やしたり、楽しめる程度の適度な運動を習慣化したりするものよいでしょう。ただし、ストレス対処法として、たばこや飲酒に頼るのはお勧めできません。過度な飲酒や喫煙は健康を損なうことがありますので注意しましょう。
こうした自分に合った対処法を見つけて実践するとともに、ストレスが度を超しそうに感じたら、専門家に相談することも考慮してくださいね。
「ストレスは人生のスパイスである」と言われます。避けることのできないストレスにうまく対処し、豊かな人生を過ごしていけるといいですね。そのためには、日ごろからストレス反応がないかチェックして、自分に合ったストレス解消法を取り入れて、うまく対処していくのが大切です。