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体内でも合成されるの?コレステロールについての正しい知識を知ろう
2021/11/05
コレステロールとはどのようなもの?
コレステロールとは、体の中にある脂質のひとつ。私たちの身体を作るために必要不可欠なものです。
「コレステロールは悪いもの」というイメージを持たれている方も多いかもしれませんが、実はそうではありません。
体の中のどのような所で使われているの?
コレステロールは、全身の細胞を包む「細胞膜」を構成するほか、性ホルモンや副腎皮質ホルモン、胆汁酸などの材料にもなっています。
またコレステロールは血液に溶けないので、血液中を流れるときにはタンパク質と結合します。結合したタンパク質によって、HDLコレステロールとLDLコレステロールの2つに分かれます。
HDLコレステロールは、血管にたまっているコレステロールを肝臓に運ぶ役割があるため「善玉コレステロール」と呼ばれます。一方LDLコレステロールは、肝臓から体中にコレステロールを運ぶため「悪玉コレステロール」と呼ばれます。
実はコレステロールは体の中でも作られている
体に必要とされるコレステロールのおよそ7~8割は、糖や脂肪を使って肝臓などで作られています。そして残りの2~3割を体の外、つまり普段の食事から取り入れているのです。
参考までに、厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査報告」の結果では、20歳以上のコレステロールの摂取量平均値は男性で366㎎、女性で317㎎となっています。
一方、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、脂質異常症の重症化予防の目的からは200mg/日未満にとどめるのが望ましいとされています。
コレステロールは体の中で作られた後、どこかに貯められているの?
コレステロールは細胞膜を構成しており、体の中では脳、肝臓、神経組織などに多く含まれます。
体で使われなかったコレステロールは、肝臓から胆汁などとして分泌され、消化吸収をサポートしたのち、大部分が肝臓にまた吸収されます。
私たちの体には体内のコレステロール量をうまく調整する機能があり、食事からの摂取量、肝臓で合成される量、体内で使われる量、体外に排泄される量などを調整して適切なコレステロール量を維持できるようになっています。
コレステロール値の上昇による代表的な病気「脂質異常症」とは?
コレステロールは元々体にとって必要な栄養素の1つですが、何かの原因で脂質をうまく代謝することが難しくなり、血液中に含まれる脂質(血中脂質と言います)が正常域から外れることがあります。
このような状態のことを「脂質異常症」といいます。2007年に「高脂血症」から名称が変わりました。
脂質異常症の基準と3つのタイプ
脂質異常症には、以下の3つのタイプが存在しています。
1.LDLコレステロールが140mg/dl以上の「高LDLコレステロール血症」
2.HDLコレステロールが40mg/dl未満の「低HDLコレステロール血症」
3.中性脂肪が150mg/dl以上の「高トリグリセライド血症(高中性脂肪血症)」
HDLコレステロールの値が低い場合、中性脂肪の高値と連動することが多いといわれています。その要因としては肥満や喫煙・運動不足が挙げられます。
脂質異常症になると、身体にはどのようなことが起きるの?
脂質異常症は自覚症状がないとされています。そのため、健康診断などで指摘されるまで自分が脂質異常症であることに気付かないということもあります。
しかしこの状態をそのまま放っておくと、コレステロールが血管壁の内部に溜まっていく可能性があります。その結果、血管が詰まりやすくなったり脆くなったりといったことが起こるかもしれません。
一般的にどのような対策や予防策があるの?
脂質異常症の対策、また脂質異常症にならないようにするには、食生活、運動などの生活習慣を改善することが基本です。
(1)食事に気をつける
コレステロールは体内でも合成されるため食事からの摂取量を設定することは難しいのですが、前述のとおり、脂質異常症の重症化予防の目的からは200mg/日未満に抑えるような食生活が望ましいとされています(厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版) https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586558.pdf」)。
具体的に気をつけるべきポイントを以下に記載します。
コレステロールの多い食品、トランス脂肪酸、飽和脂肪酸などの摂取を控える
コレステロールが多い食品として知られている卵類(鶏卵や魚卵など)、内臓類(レバーやモツなど)の摂取には気をつける必要があります。
マーガリンやショートニングなどを使用した食品、工場で生産された揚げ物などにはトランス脂肪酸(工業的に作られる油脂)が含まれています。また肉の脂身やバター、乳脂肪などには、血中コレステロールを上げる「飽和脂肪酸」が含まれます。こういった食品は控えましょう。
特にトリグリセライド(中性脂肪)が高い場合、エネルギー量のとりすぎ、特に甘いもの、お酒、油もの、糖質のとりすぎには注意しましょう。砂糖の入ったソフトドリンクなども控えましょう。
n-3系多価不飽和脂肪酸や食物繊維をとる
DHAやEPAといったn-3系多価不飽和脂肪酸を摂取することで、中性脂肪を下げる働きが期待できます。n-3系多価不飽和脂肪酸はアジやいわしなどの青魚に多く含まれます。
また玄米や雑穀、野菜、海藻、キノコ、こんにゃくなど食物繊維を多くとるようにすることもおすすめです。
(2)運動を心がける
運動は、1日合計30分以上の運動を毎日続けることが望ましいとされます(少なくとも週3日は実施)。一回に継続して30分以上運動するのではなく、短時間の運動を数回に分け、合計30分以上としてもよいようです。
運動の内容に関しては、具体的には有酸素運動、例えばウォーキングや水泳、自転車などが効果的とされます。
もし日常生活の中で運動を行う時間をとることが難しい場合には、掃除、洗車、車ではなく自転車を使うなど、日常生活の中で体を動かすことを増やすことから始めるとよいでしょう。
(参考:厚生労働省-e-ヘルスネット-「脂質異常症を改善するための運動」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-05-003.html)
(3)十分な睡眠をとる
脂質異常症のリスクを低下させるためには、睡眠時間を十分にとることも重要です。睡眠不足が気になるときは、睡眠時間を改善させることで脂質異常症の予防に繋げる効果が期待できます。
コレステロールについて正しい知識を知ることは、不要な不安を払拭し、誤解を解くことに繋がります。記事の内容を参考に普段の生活習慣を見直し、脂質異常症にならないための健康な毎日を過ごしましょう。