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脂肪燃焼のメカニズムとは?おすすめの食べ物と運動を紹介
2023/03/09
そもそも脂肪って何?
脂肪(脂質)は、炭水化物やタンパク質のように、人間の身体にとってエネルギーとなる大切な栄養素の一つです。脂肪とは、脂肪酸とグリセロールが結合した化合物です。肉や魚、食用油など食品の脂質や、体脂肪の大部分を占めています。
身体を構成する物質のうち、水分の次に多く含まれているのが脂肪です。脂肪は、体温の調整やホルモンの合成という大事な役割を担っています。
一方、摂りすぎて余った脂肪は、体内で皮下脂肪や内臓脂肪といった体脂肪として蓄えられ、過剰になると健康のリスクとなることもあります。
脂肪燃焼のメカニズムとは?
脂肪燃焼とは、体内の脂肪をエネルギーとして利用するときのプロセスのことを指します。脂肪燃焼のメカニズムは複雑ですが、簡潔にまとめると、脂肪酸が細胞内で酵素によって分解され、エネルギーに変換されるプロセスのことです。
空腹時や運動時に体内のエネルギーが不足すると、リパーゼと呼ばれる消化酵素が脂肪を分解し、グリセロールと脂肪酸に分かれます。このとき、エネルギー源となるのが脂肪酸です。
血中に放出された脂肪酸は、全身に運ばれ、エネルギーとして消費されます。
身体活動とエネルギー代謝の関係
一般的な身体活動量の人が一日に消費するエネルギーである「総エネルギー消費量」のうち、身体活動が占める割合は約3割です。そのほか、基礎代謝量が約6割、食事誘発性熱産生が約1割です。
食事誘発性熱産生とは、食事から摂取した栄養素が体内で分解され、体熱となって消費されるため、食後静かにしていても代謝量が増えることをいいます。食事後に身体がぽかぽかするのはこのためです。
基礎代謝は筋肉量により、食事誘発性熱産生は食事量により変動しますが、総エネルギー消費量に対して個人内でもっとも大きな影響が期待できるのは身体活動量です。
エネルギー消費につながる身体活動には、運動によるものと、日常生活の中で発生する家事などの活動とがあります。
脂肪燃焼をサポートする栄養素と食べ物
加齢とともに筋肉量が低下することなどによって基礎代謝は低下します。同時に身体活動時のエネルギー代謝量も低下します。
そこで、基礎代謝を上げて脂肪燃焼を促すためには、筋肉量を増やすことが求められます。
筋肉量を増やすには、タンパク質の摂取が欠かせません。
タンパク質は、ささみや豚ロースなどの肉類、鰹節やうるめいわしなどの魚類、鶏卵やうずらの卵といった卵類などの動物性タンパク質、油揚げや納豆などの豆類、くるまふやオートミールといった穀類などの植物性タンパク質に多く含まれています。
脂肪燃焼をサポートする運動
体脂肪の減量を促す脂肪燃焼には、運動が有効です。
体脂肪の中でも健康リスクに大きく影響すると考えられているのは、内臓脂肪です。内臓脂肪を運動だけで減らそうと思えば、10メッツ・時/週以上の有酸素運動が必要と考えられています。
なお「メッツ」とは運動や身体活動の強度を指す単位で、安静時を1として何倍のエネルギーを消費するかで表します。日常生活の中での身体活動を例にすると、屋内掃除や犬の散歩20分で3メッツ、自転車15分で4メッツ、階段を上がる8分で8メッツです。
脂肪燃焼には運動が重要ですが、自身の体力に応じて、継続可能な無理のない強度の運動を行うことが大切です。
筋肉をつけて、基礎代謝を上げる
基礎代謝が低下する主な原因の一つは、筋肉量の低下です。基礎代謝を上げて脂肪を燃焼しやすい身体を作るには、筋肉量を増やすことが欠かせません。
筋肉1kg当たりの代謝量は13kcalとされています。よって、筋肉だけが1kg増加し、筋肉1kg当たりの代謝量が変わらなければ、筋肉が1kg増えることで基礎代謝が13kcal増える計算になります。
筋肉を鍛えるには、ウォーキングやジョギングに加え、スクワットや腕立て伏せ、腹筋運動など、ターゲットとする筋肉に対して同じ動作を繰り返し行うことで負荷をかける「レジスタンス運動」が効果的です。
筋肉を増やして、基礎代謝をUPしましょう。
有酸素運動を取り入れる
有酸素運動とは、筋肉を動かすときに酸素とともに体内の糖質や脂肪をエネルギーとして消費する運動のことです。筋肉への負荷が比較的軽く、運動強度が低いのが特徴です。有酸素運動には、水泳やウォーキング、ジョギング、サイクリング、エアロビクスなどがあります。
一方、無酸素運動は、筋肉を動かすときに酸素を使わない、運動強度が高い運動のことを指します。短距離走などがこれに当たります。
脂肪の減量を目的とする場合、運動の強度よりもエネルギーの消費量を増やすことが鍵を握ります。強度の高い運動は長時間続けることが難しく、強度の低い運動では非常に長い時間を運動に当てることが必要になるため、中強度の運動を長めに行うのが効率的です。
これまでにもご紹介してきたように、10メッツ・時/週以上の有酸素運動がオススメです。有酸素運動の目安としては、エアロビクス9分で6.5メッツ、ジョギング9分で7メッツとされています。
脂肪燃焼のことを考えた習慣
脂肪燃焼のことを考えた習慣は健康にもつながります。脂肪を燃焼しやすい身体づくり、生活習慣を心がけましょう。
食事量は腹8分目でゆっくりよく噛む
厚生労働省の平成21年国民健康・栄養調査では、体型別に食べる速さの状況を尋ねたところ、「かなり速い」と「やや速い」と答えた人が肥満の男性では64%に上り、肥満の男性に早食いの傾向が見られることがわかりました。
出典:厚生労働省「平成21年国民健康・栄養調査報告 第3部 生活習慣調査の結果」
ゆっくりよく噛んで食べると、少量の食事で満腹感が脳に伝えられるため、食欲が抑えられるというメリットもあります。このことから、肥満防止には、食事はゆっくりよく噛んで食べることが大切です。
また、肥満につながる余分な脂肪が蓄えられる原因には、消費するエネルギー以上に、食事からエネルギーを過剰に摂取することが挙げられます。食事の過剰な摂取は控えて、腹8分目にしましょう。
目標とする体脂肪率を目指して、脂肪燃焼しよう
脂肪燃焼を促すには、まずは自分の体脂肪率を知っておきたいものです。とはいえ、実は正確な数値を測ることが難しい体脂肪率。数値に一喜一憂するのではなく、日々の体脂肪率の変化を目安として把握することで、健康管理に役立てましょう。
1.まずは自分の体脂肪率を確認しよう
まずは、自身のおおよその体脂肪率を確認してみましょう。体脂肪率の計算方法は以下です。
体脂肪率(%)=体脂肪量(kg)/体重(kg)×100
体脂肪量(kg)=体重(kg)-除脂肪量(kg)
1日のうちでも変動する体脂肪率。できるだけ正しく測定しよう!
体脂肪率は、体内の水分量や分布、飲食・運動・入浴といった活動によっても1日のうちで変動します。
そのため、測定を行うには、
(1)朝食・入浴2時間後~昼食前
(2)昼食後2時間〜夕食・入浴前
(3)夕食・入浴2時間後〜就寝前
のいずれかの時間帯で、同じ条件で測定するのがよいとされています。
2.自分が目指す目標体脂肪率を設定しよう
一般的に健康面で目標とされる体脂肪率は、男性で10〜19%、女性で20〜29%といわれています。
肥満の国際的な評価基準としてはBMIが用いられますが、身長と体重からシンプルに割り出したものであるため、脂肪過多なのか筋肉質なのか区別できない側面もあります。BMIで肥満でないとされても、体脂肪率で考えると隠れ肥満なこともあり、注意を要します。
よって、BMIと体脂肪率の両方の指標が参考になります。現在の体脂肪率と比較して、無理のない目標体脂肪率を設定して、健康に配慮しましょう。
3.脂肪燃焼に必要なエネルギー量を把握しよう
体脂肪率について参考になる目安として、体脂肪1kgを減らすには、7200kcalを消費する必要があると考えられます。
体脂肪1kg = 脂肪800g + 水分200g
脂肪1g当たりのエネルギー量:9kcal/g
脂肪800g = 800(g)× 9(kcal/g) = 7200kcal
個人差が大きいためあくまで参考値ですが、70kgの人が1時間のウォーキング(時速6km)で消費するエネルギー量を約210kcalとした場合、7200kcal消費するのにかかる時間は、 7200(kcal)÷ 210(kcal/時)= 約34(時間)となります。
1kgでも体脂肪を運動で減らすことは、なかなかに大変であることがわかりますね。
4.脂肪燃焼は、運動と食事のバランスで
食事を減らすことで脂肪を減量するほうが負担は少ないともいえますが、一方で、食事のみでの減量は、筋肉や骨の量も減らすため、代謝が落ち、やせにくかったり、リバウンドをしやすかったりする身体にしてしまいます。
また、早く脂肪を減量したいからと、過度な食事制限や過度なエネルギー消費を行うのは、健康を促進するどころか、健康へのリスクとなりかねません。
バランスよく食事や運動を行いながら、脂肪燃焼につなげることがポイントです。
脂肪燃焼に関するよくある質問
「体脂肪率の基準値はありますか?」「ダイエットをすると基礎代謝が下がる?」
こうした脂肪燃焼に関するよくある質問に答えていきましょう。
Q.体脂肪率の基準値はありますか?
体脂肪率には、肥満の診断基準となるBMIのような明確な基準値はありません。変動も大きく、正確な数値を測ることが難しいという特性も持っています。計測方法によっても体脂肪率の値が異なります。
体脂肪率と健康リスクの直接の関連性も明確になってはいません。しかしながら、体脂肪率は、健康を考える上で参考になる数値の一つです。体脂肪率に気をつけることが結果的には健康の促進につながります。
Q.ダイエットをすると基礎代謝が下がる?
ダイエットとは、食事を制限したり、運動したりすることで減量することをいいます。食事制限のみでダイエットを行うと、筋肉や骨の量も低下するため、基礎代謝の低下につながります。また、過度な食事制限は、リバウンドや健康へのリスクを高める可能性があります。
無理のないカロリー計算でバランスよく栄養を摂取しつつ、ウォーキングなどの運動を組み合わせて、細く長く続けることがダイエットの鍵を握っています。
まとめ
脂肪燃焼について解説してきましたが、脂肪燃焼を促すには、過度な負担にならない有酸素運動がおすすめです。また、脂肪燃焼に重要な役割を果たす基礎代謝を上げるためにも、筋肉量が重要です。筋肉をつけるには、良質のタンパク質を摂取しましょう。しっかりよく噛んで、早食いしないこともポイントです。バランスのよい食事と適度な運動で、健康な身体づくりを目指しましょう。