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疲れやすい、疲労回復しにくい原因は? サプリは効果あり?解消法・対処法をご紹介
2021/10/13
そもそも疲れとは? 疲れの仕組みを解説
疲れとは、「痛み」「発熱」とともに体の3大アラームだといわれています。わたしたちが疲れを感じるのは、過剰な活動により疲れ果ててしてしまうのを防ぐためなのです。疲れというアラームを感じ取ることで、無理をしすぎる前に休息の必要性を知ることができます。
日本疲労学会による疲れの定義では、『疲労とは過度の肉体的および精神的活動、または疾病によって生じた独特の不快感と休養の願望を伴う身体の活動能力の減退状態である』とされています。人間の体は、ストレスや運動不足、睡眠の乱れ、病気などさまざまな原因によって、疲れを感じるようになっています。
しかし、疲れを自覚していても、その疲れを引きずっている人は少なくありません。平成23年「ストレスに関連する症状不調の確認項目の試行的実施」では、翌朝に前日の疲労を持ち越すことが「ときどきある」人の割合は47.2%、「よくある」が18.9%、「いつも持ち越している」のは6.8%でした。つまり、7割の人が体の疲れを感じており、疲れを翌日に引きずっていることがある、という結果でした。
出典:厚生労働省「ストレスに関連する症状不調の確認項目の試行的実施」
疲れが起こる仕組み
疲れはどのように起こるのでしょうか? 疲れを感じるのは、①活性酸素が発生し、②活性酸素により細胞や細胞内が傷つき、③それが脳に伝わったときだといわれています。それぞれ順番にご説明します。
①活性酸素とは?
わたしたちの体の内では、酸素を使ってエネルギー(アデノシン三リン酸:ATP)を作っています。その過程で、副産物として活性酸素が生み出されます。通常、活性酸素は細胞内の抗酸化物質によって消去されます。
②活性酸素によって細胞や細胞内が傷つくのはどんなとき?
しかし、一度に多くのエネルギーを必要とした場合、細胞のオーバーワークによって活性酸素の発生量が過剰になったり、抗酸化物質が減少したりしてしまいます。すると、活性酸素を消去する働きが追いつかなくなって、増加した活性酸素によって細胞内のタンパク質などが酸化され、細胞そのものや細胞内の器官が傷ついてしまうのです。
③どうやって脳に伝わるの?
体内に異常がないかをパトロールしている免疫細胞が、細胞や器官が傷ついている状態を見つけると、修復のためにサイトカインという物質を出します。このサイトカインが脳や神経などに届くと、だるさや痛み、意識の低下、微熱が生じるとともに、脳が疲れを感じるようになります。このとき、細胞を修復するエネルギーが足りないと、疲労が回復せず長引くことになります。
疲れが起こる仕組みについて最新の研究
以前は、運動すると乳酸が増加して疲労が引き起こされると考えられていましたが、現在では、乳酸は運動時のエネルギー源になると同時に、筋収縮の低下を防ぐ働きがあり、疲労の原因物質ではないと考えられています。
また、運動した後に感じる疲れは、脳内のセロトニンという物質が増えるため、とする説もありました。しかし最近では、セロトニンそのものではなく、セロトニンの材料となるトリプトファン、あるいはトリプトファンの代謝物であるキノリン酸などが疲労に関与しているとされています。
疲れにはどのような種類がある?
疲労の種類は、末梢疲労と中枢性疲労に分けられます。
末梢疲労とは、肉体的な疲労であり、スポーツで起こる筋肉などの疲れです。
中枢性疲労は脳が疲れを感じている状態を指します。長時間の考えごとや精神的な緊張状態が続いたとき、脳の調整能力が十分に働かなくなって感じる疲れです。食生活の乱れや運動不足、不規則な生活によっても引き起こされることがあります。
ほとんどの疲れは、両方の疲労が組み合わさっているといわれます。なお、疲れは期間によっても分けられます。休息や睡眠などで改善される一時的な疲労を急性疲労、改善されず長期にわたる疲労を慢性疲労といいます。疲れがたまったまま放っておくと、自律神経やホルモンのバランスが乱れてしまうことがあります。また、免疫機能が低下し、病気が治りにくくなったりする場合もあります。
疲れの解消法3選! 運動・食事・生活習慣がポイント
運動
疲れを解消する方法はいくつかあります。そのひとつが適度に体を動かすことです。
身体活動と疲労の関係を検討した研究では、身体活動度が高い(よく動く)ほど疲労が低く、身体活動度が低いほど疲労が高かったことが報告されています。身体活動には、運動だけでなく、仕事や家事、買い物などの日常動作も含まれていました。過度な運動は疲れる要因となりますが、適度に体を動かすことで疲れの解消につながります。
その他の研究などから、運動したり、長時間座っている状態を中断したりすることで、疲労が軽減されたことがわかっています。長時間のデスクワークを行っている人は、意識的に立ち上がる、歩くなどするのがよいでしょう。
疲労回復のためには、ストレッチやヨガが勧められます。また、軽度~中程度の強度の運動も効果的です。
出典:Engberg I, Segerstedt J, Waller G, Wennberg P, Eliasson M. Fatigue in the general population- associations to age, sex, socioeconomic status, physical activity, sitting time and self-rated health: the northern Sweden MONICA study 2014. BMC Public Health. 2017;17(1):654.
出典:小田切優子:現代生活における疲労―身体活動、運動の疲労軽減効果の可能性(下光輝一・八田秀雄 編:運動と疲労の科学)
食事・サプリメント
食事では、疲労回復に効果的な栄養素を補給するのがよいでしょう。疲労回復には、活性酸素を除去する抗酸化物質や細胞修復に必要なエネルギーを供給するアデノシン三リン酸(ATP)という成分がよいといわれています。
他にも疲労回復に効果のあると言われている成分には抗酸化物質(ビタミンC、ビタミンE、β-カロテン)、アデノシン三リン酸(ATP)合成に必要な食品(ビタミンB1、α-リポ酸、L-カルニチン、パントテン酸)などがあります。
抗酸化物質を含む食品
抗酸化物質には活性酸素を取り除く働きがあります。疲労のもととなる活性酸素には水素系や窒素系、硫黄系、塩素系などさまざまな種類があり、働きかける抗酸化物質も違います。そのため、いろいろな食品を摂り、多様な抗酸化物質を摂取するのが望ましいとされています。
抗酸化物質にはビタミンC、ビタミンE、グルタチオン、システイン、ポリフェノール類、β-カロテン、カテキン、イミダゾールジペプチドなどがあります。代表的な抗酸化物質は次のような食品に多く含まれています。
【ビタミンCを多く含む食品】
- 赤ピーマン
- 芽キャベツ
- ブロッコリー
- アセロラ
- キウイフルーツ
- 柿
など
【ビタミンEを多く含む食品】
- 玄米
- さつまいも
- アーモンド
- 落花生
- さんま
- 鶏卵
など
【β-カロテンを多く含む食品】
- にんじん
- モロヘイヤ
- ほうれん草
- わかめ
- マンゴー
など
アデノシン三リン酸(ATP)合成に必要な食品、サプリでの補給もおすすめ
ATPは私たちの体を動かすエネルギー源です。細胞の中にあるミトコンドリアがブドウ糖と脂肪酸を燃料にしてATPを作り出します。
ブドウ糖を燃料として取り込むには、ビタミンB1とα-リポ酸が必要です。脂肪酸の場合は、L-カルニチン(アミノ酸)とパントテン酸(ビタミンの一種)が必要となります。各成分を含む食品は以下の通りです。
【ビタミンB1を含む食品】
- 豚肉
- うなぎ
- 大豆
- 玄米
など
【α-リポ酸を含む食品】
- トマト
- ブロッコリー
- ほうれんそう
- レバー
など
【L-カルニチンを含む食品】
- 羊肉
- 牛肉
- 赤貝
- アボカド
など
【パントテン酸を含む食品】
- レバー
- しいたけ
- ひらたけ
- チーズ
- たらこ
- 納豆
など
パントテン酸(Pantothenic acid)の“pan”はギリシア語で「どこでも」「至るところに」という意味です。その名の通り、パントテン酸はさまざまな食品に含まれ、通常の食事で不足する心配はありません。
一方で、α-リポ酸やL-カルニチンなどは、含有食品はあるものの含まれるのは微量なため、健康食品やサプリメントで補う方法もあります。
また、ゆっくりよく噛んで食べることも、スムーズにエネルギーを作り出す助けになるとされています。
サプリメントでの補給はどうなの?
上記のような栄養素を取り入れてバランスの良い食事を心がけることがお勧めです。しかし、忙しいときや疲れているときに、これだけの栄養素を食事だけでカバーするのは難しいと感じるかもしれません。そうしたときにはサプリメントで補給することを考えてみてもいいかもしれません。
機能性表示食品の中には、日常生活で感じる疲労の軽減に役立つ成分が配合されたものもあります。たとえば「GABA」は仕事や勉強などによる一時的な疲労感を軽減すること、「L-テアニン」は一過性の作業に伴うストレスを緩和すること、「還元型コエンザイムQ10」は日常生活での身体的疲労感を軽減することなどが報告されています。状況に応じて検討してはいかがでしょうか。
ただし、薬を服用中の場合は事前に必ず医師や薬剤師に確認してください。サプリメントを使用する際は、決められた方法や量を守りましょう。また、複数のサプリメントを一度に飲むのはお勧めされません。
生活習慣(睡眠)
睡眠には体や心の疲労を回復する働きがあります。疲労の蓄積を防ぐためには、毎日必要な睡眠時間を確保することが、疲労の蓄積を防ぐことにつながります。週末に寝だめをしても、睡眠不足を補うには十分ではありません。寝過ぎると夜眠れなくなる可能性もあります。
では、夜に十分な睡眠時間が取れなかった場合はどうしたらいいのでしょうか。午後の早い時間に30分以内の短い昼寝をとるとよいとされています。
入浴や運動も睡眠に影響します。就寝2-3時間前に40℃程度の風呂に入ると、精神的にリラックスでき、体から熱の発散が促されて深い睡眠につながるとされています。就寝直前に42℃以上の風呂に入るのは逆効果だそうです。
睡眠改善のためには、昼間に定期的な運動をしたり、規則正しく食事をしたりすることが勧められています。寝る直前に激しい運動をしたり、食事を摂ったりすると寝つきが悪くなるため注意が必要です。
出典:厚生労働省e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」
疲労についての基本的な知識と、疲労回復のために日常生活で取り組めることをご紹介しました。
疲れは、体からのアラームだとお伝えしました。「休息をとったほうがいい」という体からのSOSを放置していると疲れがたまって、体調を崩し、健康を損ねてしまう可能性があります。日々、よいパフォーマンスを発揮するためにも、自分の体からのアラームやちょっとしたサインに目を向けて、上手に疲労回復を図りたいですね。