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良質な睡眠を取るためのコツと寝つきが良くないと感じたときに試してほしい方法
2023/08/09
質の高い睡眠の重要性
まずは睡眠についての理解を深めましょう。睡眠にはどのような役割があるか、質の高い睡眠とは何か、日本人の1日の睡眠時間と悩みはどのようなものか、解説します。
●睡眠はなぜ重要か
睡眠は心と体の健康に欠かせません。さまざまな精神機能や身体機能に関連しているとされています。
人は1日周期のリズムをつくり出す「体内時計」を持ち、体内の生体リズム(概日リズム、サーカディアンリズム)を調整しますが、1日周期のリズムを維持するために大切なのが日光浴と睡眠です。
特に毎日ほぼ決まった時間に寝て、決まった時間に起きる生活リズム(睡眠・覚醒リズム)は、体内時計を24時間周期に維持するために重要な役割を果たしています。
ある程度の時間起きていると、入眠を促すホルモン「メラトニン」が分泌され、適度な睡眠を終えたあとは覚醒を促す「副腎皮質ホルモン」が分泌される…など、人間は体内のさまざまな機能を駆使して睡眠と覚醒のリズムを維持しているのです。
●質の高い睡眠とは?
質の高い睡眠とは、寝つきが良い、適切な睡眠時間で中途覚醒がない、起床時間にスッキリ目覚められる、熟眠感がある、日中に過度の眠気がないなど、総合的にみて良質の睡眠を指します。
逆にいえば、寝つきが悪い、十分に寝たのに眠気が取れないなどの場合は、睡眠の質が低いといえるでしょう。
もう一つ、「深い眠り」が睡眠の質と関連します。睡眠は、レム睡眠(浅い睡眠)とノンレム睡眠(深い睡眠)を定期的に繰り返す周期があります(睡眠リズム)。ノンレム睡眠は睡眠の前半に多いため、深い眠りを確保するには、寝つきが重要になるのです。
心身が健康な状態なら、質の高い睡眠で十分な休養を取れれば日々の生活の活動力は上がり、仕事や勉強などにおいて高いパフォーマンスを発揮しやすくなります。
厚生労働省の「令和元年国民健康・栄養調査報告」によると、睡眠時間の平均が7時間未満の人が7割以上を占め、多くの人が睡眠の質になんらかの問題を感じているようです。
1日の平均睡眠時間 (20歳以上男女) |
人数(n=5,701) [男性:2,668、女性:3,033] |
割合 |
5時間未満 | 503 | 8.8% |
5時間以上6時間未満 | 1,728 | 30.3% |
6時間以上7時間未満 | 1,971 | 34.6% |
7時間以上8時間未満 | 1,046 | 18.3% |
8時間以上9時間未満 | 335 | 5.9% |
9時間以上 | 118 | 2.1% |
睡眠の質の状況 (20歳以上男女) |
人数(n=5,702、複数回答) [男性:2,667、女性:3,035] |
割合 |
寝つき(布団に入ってから眠るまでに要する時間)に、いつもよりも時間がかかった | 792 | 13.9% |
夜中、睡眠途中に目が覚めて困った | 1,463 | 25.7% |
起きようとする時刻よりも早く目が覚め、それ以上眠れなかった | 927 | 16.3% |
睡眠時間が足りなかった | 1,063 | 18.3% |
睡眠全体の質に満足できなかった | 1,243 | 21.8% |
日中、眠気を感じた | 1,982 | 34.8% |
上記のようなことはなかった | 1,761 | 30.9% |
睡眠の質の向上をサポートする【生活のコツ】
日々の生活のちょっとした工夫で睡眠の質を上げることは可能です。睡眠の質の向上をサポートするコツと、そのメカニズムについて解説します。
●起床後に太陽の光を浴びる
朝に太陽の光を浴びることで、夜の寝つきが良くなる効果を期待できるとされています。朝の光には後ろにずれやすい体内時計のリズムを外界の24時間周期に同調させるはたらきがあるのです。
朝起きて太陽の光を浴びると体内時計がリセットされます。13時間くらいが経過すると眠気を誘うメラトニンが徐々に分泌され、手足の末梢から熱が放散されます。熱の放出と共に体温が低下し始め、1~2時間のうちに自然な眠気が出現するというメカニズムです。
なお、メラトニンは血液中の必須アミノ酸「トリプトファン」から合成される「セロトニン」という神経伝達物質が原料です。セロトニンには精神を安定させる働きがありますが、朝の太陽光がきっかけで産生されます。
朝の光を浴びることでセロトニンが分泌され、スッキリとした目覚めをもたらす効果も期待できるといわれています。
一方、夜に強い光を浴びると体内時計がずれ、寝つきにくくなるため注意が必要です。
●寝る3時間ほど前に軽い運動をする
就寝の3時間くらい前に運動すると、寝つきが良くなり深い睡眠を取りやすくなるとされています。
眠気は脳の温度が低下するタイミングで生じやすいため、運動によって脳の温度を一時的に上げると、徐々に下がる際に眠気が生じやすくなります。
1回だけの運動では効果が弱い場合が多く、習慣的に行うことが重要です。就寝する3時間くらい前の夕方から夜、定期的に運動するようにしましょう。
なお、早足の散歩や軽いジョギングなどの負担が少ない有酸素運動がおすすめです。激しい運動や、寝る直前の運動はかえって睡眠を妨げるため、避けてください。
●入浴時間は寝る前の2~3時間前がおすすめ
就寝の2~3時間くらい前の入浴も、運動と同様に一時的に体温を上げることで寝つきを良くする効果を期待できます。
入浴すると深部体温が上がるのがポイントです。
就寝の2~3時間くらい前に38℃のぬるめのお風呂に25~30分、42℃の熱めのお湯なら5分程度、入浴する習慣をつけましょう。
●スマホやパソコン、ゲーム機などの夜間の使用を減らす
スマートフォンやパソコン、ゲーム機などのデジタルデバイスの画面はブルーライト(青色光)とよばれる光を発しています。
ブルーライトは太陽光にも含まれるもので、目に見える光のうち波長が最も短い青色系の光で、日没後にこの光を浴びると体内時計が乱れ、入眠を促すメラトニンの分泌が抑制されてスムーズな入眠を妨げてしまいます。
睡眠の質を良くするためには、日没後はデジタルデバイスの使用を短時間に抑えたり、ブルーライトをカットする眼鏡やアプリを使ったりするなどの工夫が必要です。
睡眠の質の向上をサポートする【食事のコツ】
次は食事のコツです。取り入れてほしい具体的な栄養素とその理由、多く含む食材について解説します。
●睡眠に関連するアミノ酸・ミネラルが含まれる食材を食べる
睡眠の質を高めるには、入眠を促すホルモン「メラトニン」を分泌させることが重要です。夜のメラトニン分泌を増やすためには、原料となる必須アミノ酸「トリプトファン」を摂取しましょう。朝食に摂るのが効果的です。
前述のとおりトリプトファンは一度、神経伝達物質のセロトニンになり、セロトニンからメラトニンがつくられます。セロトニンの生成する過程で、ビタミンB6、ナイアシン、マグネシウムなどの栄養素が必要になりますから、これらも合わせて摂取しましょう。
そのほか、GABA(ギャバ、γ-アミノ酪酸)、グリシンなどの遊離アミノ酸も睡眠の質の向上を助けます。食事での摂取に加え、配合製品やサプリメントの活用も便利です。
では、それぞれの栄養素の効果と多く含まれている食材の例を紹介しましょう。
種類 | 栄養素 | 睡眠への効果 | 多く含まれている食材 |
アミノ酸 | トリプトファン | セロトニン、メラトニンの原料で、入眠の促進と朝の覚醒を助ける | 大豆製品(豆腐、納豆、味噌など)、乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルトなど)、バナナ、卵、穀物など |
GABA | 交感神経の興奮を抑制し、睡眠の質向上を助ける | トマト、カボチャ、ジャガイモ、メロンなど | |
グリシン | 深部体温を下げて入眠を助ける | 豚肉、ホタテ、エビ、イカなど | |
ビタミン | ビタミンB6 | セロトニン生成を助ける | 鮭、青魚(サバ、サンマなど)、鶏胸肉、ささみなど |
ナイアシン | セロトニン生成を助ける | タラコ、カツオ、マグロ、豚レバー、牛レバー、乾燥シイタケなど | |
ミネラル | マグネシウム | セロトニン生成を助ける | 藻類(アオサ、ノリ、ワカメ、ヒジキ)、エビ、大豆製品、玄米など |
●アルコールやカフェインは摂る量・タイミングに気をつける
コーヒー、緑茶、チョコレートなどのカフェインが含まれる飲食物には覚醒効果があるため、就寝の数時間前は摂取を控えたほうがよいでしょう。
寝る前の酒は寝つきを良くする効果はありますが、明け方の睡眠の質を悪くするため、おすすめできません。
ホットミルクや白湯などカフェインレスの温かい飲み物を飲むと、体内の体温が一時的に上がり、その後下がるにつれて眠気が促されるとされています。
寝つきが良くないと感じたときに試してほしい方法
ベッドや布団に入ってもなかなか眠れない、そんなときに試してほしい方法を2つ紹介します。簡単な方法ですから、すぐに実践できます。
●ストレッチをする
ストレッチで筋肉の緊張をほぐし、リラックスさせます。緊張と脱力を繰り返すストレッチがおすすめです。姿勢は座ってでも、仰向けででもどちらでも構いません。
なお、心身をリラックスさせて深部体温をあげるのが目的のため、激しい動きをしたり長時間行ったりしないようにしましょう。ご自分のペースで無理をしないことが重要です。また、息を止めず、ゆっくりと呼吸しながら行うとよいでしょう。
◎おすすめのストレッチの方法
1. 緊張:顔からつま先まで全身に力を入れ、5秒ほどキープします。
このとき、手はグーに握り、足のつま先は天井に向けます。
2. 脱力:息を吐きながら全身の力を抜きます。
※1と2を4回ほど繰り返すとよいでしょう。
●深い腹式呼吸を行う
体の緊張をほぐしてリラックスさせる深い腹式呼吸がおすすめです。おへその下を意識しながら呼吸を行います。
◎おすすめの呼吸の仕方
1. 口から息を吐ききる
2. 4秒かけて鼻からゆっくり息を吸う
3. 7秒間、息を止める
4. 8秒かけて口からゆっくり息を吐く
さまざまな工夫で「深い眠り」と「スッキリした目覚め」を獲得しよう
睡眠の質は、仕事や勉強などのパフォーマンス、生活の満足度に直接関係します。
深い眠りや熟眠感、翌朝のスッキリ感を獲得して、睡眠に対する満足度を高めるために、今回紹介した生活・食事のコツ、寝つきがよくないときに試してほしい方法をぜひ取り入れてみてください。
今回は取り上げませんでしたが、睡眠の質を向上させるためには睡眠環境の整備も重要です。
安眠を妨げないように寝室を整えたり、寝具を変えたり、カーテンを厚いものに変えたり、眠りを誘うような香りのアロマを焚いたりなど、快適な睡眠を確保できるように考えてみてください。
良質の睡眠で、ストレスフルな現代社会を乗り越えましょう。