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腸内環境を整える3つの菌とは?腸に良い食べ物やすぐできる生活習慣改善法をチェック!
2021/10/13
「腸内環境」「腸内フローラ(腸内細菌叢)」って何?
わたしたちの腸内には細菌が住んでいます。その数はおよそ1,000種類、100兆個にも及びます。この細菌たちは、働きや性質の似た菌が集まってコロニー(集落)を作り、腸全体でひとつの生態系を形づくっています。これが腸内環境です。
「腸内フローラ」とは、この状態を花畑(フローラ)に例えた呼び方です。腸内フローラは人によって異なり、食生活などの影響を受けるとされています。
腸内細菌は、善玉菌、悪玉菌、そのどちらでもない日和見菌に大きく分けられます。3種類の菌はお互いに関係し合い、バランスをとっています。健康のためにはこの3種類のバランスが重要で、成人では「善玉菌2割、悪玉菌1割、日和見菌7割」がよいバランスとされています。抗生物質を飲んだり、食中毒を起こしたりすると、腸内細菌のバランスは一時的に変化し崩れることがありますが、時間の経過とともに元に戻るといわれています。
3種類の菌の特徴から「腸内細菌」について知ろう

さきほど、腸内細菌には善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3種類があるとご説明しました。次は、それぞれの菌の特徴についてご紹介します。
善玉菌の特徴
善玉菌の代表的なものに、乳酸菌やビフィズス菌があります。
乳酸菌は、体に必要なエネルギーを作り出してくれる細菌です。エネルギーを作る際に、オリゴ糖などの糖をエサとして、それらを分解して乳酸などの酸を作るため、「乳酸」菌と呼ばれます。
ヨーグルト、チーズ、漬物、日本酒などの発酵食品を作る際に乳酸菌が使われています。
乳酸菌のなかにはビフィズス菌とラクトバチルス(乳酸桿菌)があります。多くの動物はビフィズス菌よりも乳酸桿菌が多いのですが、ヒトはビフィズス菌のほうが多いことがわかっています。よって、ヒトにとっての善玉菌は、主にビフィズス菌のことだといえます。
30種類ほどのビフィズス菌が確認されていて、ヒトの便からは10種類ほどが見つかっています。ビフィズス菌は腸内で悪玉菌の繁殖を抑えます。そして、腸のぜん動運動(腸の筋肉を動かして腸内の食べ物を移動させる運動)を促し、便通をよくします。
ビフィズス菌とラクトバチルスはどのように違うのでしょうか。ラクトバチルスは糖から乳酸を作ります。一方でビフィズス菌は、乳酸のほかに強い殺菌力のある酢酸も作り出します。この酢酸が悪玉菌の増殖を抑えると考えられています。
悪玉菌はアルカリ性の環境を好み、酸性の環境では死んでしまう性質があるため、酢酸によって腸内を酸性にすると悪玉菌を減らせるのです。食べ物に含まれる酢酸は大腸に届く前に吸収されてしまいますが、ビフィズス菌は腸内で酢酸を生成するため、悪玉菌の増殖抑制に活躍します。
悪玉菌の特徴
悪玉菌は、タンパク質を分解して有害物質を発生させ、腸内環境を悪化させます。
悪玉菌はヒトの腸内では善玉菌よりも数が少ないものの、油断は禁物です。なぜなら、悪玉菌が増殖を始めると、無害だった日和見菌も悪玉化してしまい一気に数が増えるからです。日頃から、悪玉菌を少しでも増やさないようにすることが大切です。また、悪玉菌の割合は加齢とともに増加するとされているため、年齢を重ねていくほど注意が必要です。
悪玉菌の代表は、大腸菌やウェルシュ菌です。
大腸菌は、体内でビタミンB群やビタミンKを作り出したり、感染症を防御したりする働きもありますが、一定数を超えると腸内フローラのバランスを崩してしまいます。
ウェルシュ菌は、もともと肉食動物の腸内に多く住んでいる菌で、大腸菌よりも数は少ないですが、腸内フローラのバランスが崩れて悪玉菌が増えると暴れだし、さまざまな有害物質を生み出します。こうした有害物質が便秘や下痢、アレルギー、潰瘍性大腸炎などを引き起こすとも考えられています。血液によってウェルシュ菌が全身に運ばれると、肌荒れや代謝不良の要因になることもあります。
日和見菌の特徴
日和見菌とは、前述のように善玉菌でも悪玉菌でもない菌です。理想的な腸内環境では、腸内細菌のうちの7割と大多数が日和見菌だといわれています。日和見菌にはバクテロイデス、ユウバクテリウム、クロストリジウムなどの種類が存在します。
日和見菌は、悪玉菌が繁殖すると悪玉菌に、善玉菌が繁殖すると善玉菌になりやすい性質を持っています。そのため、腸内環境を良好に保つためには、ビフィズス菌の割合を一定に保ち、大多数の日和見菌を悪玉菌化させないことが大切です。
年齢によって変化する腸内細菌
腸内細菌の割合は年齢により変化するとされています。生まれた直後は腸内に酸素が多く存在するため、大腸菌や腸球菌のような酸素を好む菌(好気性細菌)が増えます。これらの菌が酸素を消費していくにつれて、腸の中から酸素が減っていきます。すると、生後3日目ごろから嫌気性のビフィズス菌が増え始めます。
4~7日目にはビフィズス菌が腸内細菌の95%を占めるようになり、離乳の時期までこの状態が続きます。食事をとりはじめると、日和見菌が増えて、ビフィズス菌の割合は2割程度に落ち着くとされます。その後、ビフィズス菌は中年期から減少し始め、年齢を重ねるとともに悪玉菌が増えていきます。
腸内環境が悪いと、どんなことが起きる?
腸内フローラのバランスが崩れると引き起こされることのひとつが、便の状態(量、形と硬さ、色とにおい)の変化です。
便の量はどれくらいが適当なのでしょうか。日本人の平均的な便の量は、1日当たり125~180g(バナナ1~2本弱)とされています。食物繊維の摂取を増やすと200~300g(バナナ2~3本)まで増えます。便の量が多いということは、菌の量が多い、食物繊維の摂取量が多い、腸のぜん動が盛んで腸内フローラのバランスが整っているということです。
形と硬さはどうでしょうか。便の水分量は70~80%、ほどよい柔らかさのバナナ状の形がよいとされています。食生活の乱れやストレスなどで腸の運動が低下すると、食べ物の消化に時間がかかるため便の水分が失われていき、便の状態が次第に硬くコロコロ・カチカチ状に変化します。
色も腸内環境を反映するとされています。ビフィズス菌が9割以上を占める赤ちゃんの便は黄色に近く、年齢を重ねるにつれ茶色から黒っぽい便に変化していく傾向があります。酸性・アルカリ性の程度(pH)との関係でみると、赤ちゃんの黄色い便は酸性(pH.5~5.5)、pH 6.5を超えると茶色になり、pH7以上になるとアルカリ性の黒い便になります。成人の健康な便はpH5.5~6.5とされます。
また、便のにおいが悪いときは腸内環境が悪化していると考えられます。
反対に、腸内環境が整えられるとどんなことが起きるのでしょうか。近年、腸内環境が全身の健康状態に影響を及ぼすことが明らかになってきています。
以前から知られている腸内環境の役割のひとつが免疫です。腸には外部からの侵入、つまり口から取り入れた栄養素や水分が入ってくるため、上皮細胞と免疫細胞によるバリア機能構造を備えています。加えて、腸内細菌が病気の原因となるウイルスや細菌などが定着したり増殖したりするのを防ぐことが知られています。
また、最近注目を集めているのが代謝における腸内環境の影響です。肥満の人は腸内環境のバランスが偏っていたり、腸内細菌の種類が減少していたりすることが明らかになっており、その点からも腸内環境を整えることが大切と考えられています。
腸内環境を整える方法

腸内環境を整える方法①善玉菌を増やす
腸内の善玉菌の割合を増やす方法は主に2つあります。
1つ目は、さまざまな種類の乳酸菌を摂取する方法です。乳酸菌には、生きた乳酸菌と死んだ乳酸菌があります。
「生きた乳酸菌」は、腸内を酸性にし、善玉菌が増えやすい環境を作ります。
「死んだ乳酸菌」も善玉菌のエサになり、善玉菌を増やしてくれます。
これらの乳酸菌は便と一緒に排泄されてしまうので、毎日続けて一定量をとることが大切です。
乳酸菌の種類と自分の腸の相性もあるため、自分のおなかにあった乳酸菌を見つけていく必要があります。よって、さまざまな食品から複数の種類の乳酸菌を摂取することが重要です。
以下のような発酵食品に乳酸菌が含まれています。
【乳酸菌を含む食品】
- ヨーグルト
- 乳酸菌飲料
- 納豆
- 漬物
- 味噌
など
2つ目は、善玉菌の増殖を助ける成分を摂取することです。この成分は食物繊維やオリゴ糖に含まれています。食物繊維が豊富な食材やオリゴ糖が含まれる食品を積極的に食べるようにしてみましょう。
善玉菌を増やす成分
食物繊維

食物繊維は、健康上の大切な役割があり、「第六の栄養素」ともいわれます。水に溶けない不溶性食物繊維と、水に溶ける水溶性食物繊維に大きく分けられます。以下でご説明するように、この2種類の食物繊維にはそれぞれ重要な働きがあるため、両方をバランスよく摂取するように心がけましょう。
不溶性食物繊維は、摂取すると消化されないまま大腸に届き、便のかさが増します。腸のぜん動運動も促すため、便秘を改善する働きがあります。
セルロース・ヘミセルロース・キチン・キトサンなどが不溶性食物繊維と呼ばれるものです。主に穀類、野菜、豆類、木の実などに含まれます。
【不溶性食物繊維を含む食品】
- 穀類(オートミール、押し麦、ライ麦など)
- 野菜類(ごぼう、さつまいも、切り干し大根、干しシイタケ、インゲン豆など)
- 豆類(大豆、納豆、おからなど)
- 果実類(プルーン、アボカド、落花生、アーモンド、クルミなど)
など
一方、水溶性食物繊維は摂取すると腸内の水分に溶けてゲル状になる性質があります。
小腸での栄養素の消化・吸収を抑え、血糖値の急上昇を抑えるほか、体内のコレステロールを吸着し、血中のコレステロール値を下げる役割を担っています。
果物に多いペクチン、こんにゃくに多いグルコマンナン、海藻類に多いフコイダンやアルギン酸、植物の種や樹皮に多い植物ガムなど、水溶性食物繊維にはさまざまな種類があります。水溶性食物繊維を含む食品は次の通りです。
【水溶性食物繊維を含む食品】
- 穀類(オートミール、ライ麦など)
- 野菜類(切り干し大根、ごぼう、干しシイタケ、インゲン豆など)
- 海藻類(昆布、わかめ、もずく、寒天など)
- 果実類(プルーン、いちじく、アボカド)
など
オリゴ糖

オリゴ糖は糖質の一種です。糖質には最小単位である単糖類、単糖が2つ結びついた二糖類、少糖類、単糖がたくさんつながった多糖類があります。オリゴ糖の明確な定義はなく、単糖が2個または3個~10個程度結びついたものがオリゴ糖と呼ばれます。オリゴ糖はビフィズス菌の栄養源になるため、腸内環境を整えるために大切な成分です。
二糖類は腸内ですぐに単糖に分解されますが、オリゴ糖はほとんど吸収されません。たとえば、オリゴ糖の一種である乳果オリゴ糖は胃酸によって1.5%、小腸の酵素でも5%しか分解されないとされています。つまり90%以上は消化・吸収されず、善玉菌のエサになります。
オリゴ糖には、砂糖を原料にして、酵素の作用により作られるフラクトオリゴ糖や、大豆から天然成分を抽出・分離させた大豆オリゴ糖、乳糖にβ-ガラクトシダーゼを作用させたガラクトオリゴ糖などがあります。
オリゴ糖は、野菜や果物にも含まれています。それぞれに含まれている量は多くありませんが、これらの食物は食物繊維も豊富なため、腸によい食品といえます。
なお、善玉菌のエサとなるオリゴ糖ですが、急に摂取すると下痢を起こしたりおなかが張ったりすることがあるため、注意しましょう。
【オリゴ糖を含む食品】
- 野菜類(たまねぎ、キャベツ、ごぼう、アスパラガスなど)
- 果物(りんご、ぶどう、バナナなど)
- 大豆
など
腸内環境を整える方法②悪玉菌の増殖につながる食品を食べ過ぎない
肉類や精製した穀類をとると、悪玉菌の増加につながります。肉類に含まれる動物性タンパク質、特にミオシンが悪玉菌のエサになるためです。ただし、動物性タンパク質には血管を強くしたり体力をつけたりするプラス面もあるので、適切な量を摂取することが大切です。
ミオシンは牛肉などに多く含まれるため、悪玉菌を増やさないためには、豚肉や鶏肉も意識して摂るようにしましょう。
腸内環境を整える方法③生活習慣を改善する
先にご紹介したように、排便状況は腸内環境と関係しています。便秘を改善し、規則正しい排便を促すためには、食事の改善とともに、次のようなことを心がけましょう。
- 朝一番に水を飲み、きちんと朝食をとりましょう。朝一で水分と食物をとることで、胃や大腸の反射を促します。
- 起床後に、軽い運動や散歩などで体を動かしましょう。全身の血流をよくすると消化管の活動も活発になります。
- 便意があったら我慢せずに早めにトイレに行くようにしましょう。
- ストレスマネジメントも意識しましょう。腸の消化を司る自律神経はストレスの影響を受けやすいとされ、ストレスは腸内フローラにも影響を与えます。
最近話題になることが多い「腸内フローラ」「善玉菌」「悪玉菌」の基本的な知識をご紹介しました。
善玉菌は腸内の環境を整え、食べた物を移動させる運動を促し、便通をよくする働きがあります。一方で、悪玉菌は腸内の環境を悪化させ、増えすぎると健康にも悪影響を及ぼします。
そこで、善玉菌を増やし、悪玉菌を減らすことが大切です。
食事では、善玉菌を増やしてくれる食物繊維や善玉菌のエサとなるオリゴ糖などが含まれる食品をとるようにし、悪玉菌の増加につながる食品を適度な量にとどめるよう意識することが大切です。
また、便秘を防いで規則正しい排便につながる生活習慣も続けてみましょう。こうした心がけが腸内環境を整えてくれます。腸内環境を整え、より健康的な生活を目指しましょう。