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日本人の平均睡眠時間はどれくらい?自分に合った睡眠時間の見つけ方
2023/08/14
日本人の平均的な睡眠時間や睡眠の質の状況は?
●平均睡眠時間の国際比較
日本は、世界のなかでも睡眠時間が非常に短い国です。
欧米や日本、韓国などの先進国が加盟する国際機関「経済協力開発機構(OECD)」が2018年に調査したデータでは、日本人の平均睡眠時間は7時間22分と調査した33か国中最も短く、全体平均(8時間28分)よりも1時間少ないという結果でした。これは、ワースト2位の韓国より30分近くも少ない睡眠時間です。
新興国、途上国を含めた民間のいくつかの調査でも低い順位となっているため、世界的に見ても特に睡眠時間の短い国民といえるでしょう。
●日本人の平均睡眠時間の分布と睡眠の質
厚生労働省は国民の身体・栄養摂取・生活習慣の状況を調べるために、毎年「国民・健康栄養調査」を実施しています。2020(令和2)年と2021(令和3)年はコロナ禍の影響で調査が中止されたため、2019(令和元)年の調査から、1日の平均睡眠時間の分布と睡眠の質に関する調査結果を紹介しましょう。
まず、20歳以上の日本人の1日の平均睡眠時間の分布ですが、6時間以上7時間未満の割合が最も高く、男性32.7%、女性 36.2%を占めます。
次いで多いのが5時間以上6時間未満の割合で、男性29.0%、女性31.5%にも達するのです。
1日の平均睡眠時間 (20歳以上) |
男性(n=2,668) | 割合 | 女性(n=3,033) | 割合 |
5時間未満 | 227人 | 8.5% | 276人 | 9.1% |
5時間以上6時間未満 | 773人 | 29.0% | 955人 | 31.5% |
6時間以上7時間未満 | 873人 | 32.7% | 1,098人 | 36.2% |
7時間以上8時間未満 | 536人 | 20.1% | 510人 | 16.8% |
8時間以上9時間未満 | 190人 | 7.1% | 145人 | 4.8% |
9時間以上 | 69人 | 2.6% | 49人 | 1.6% |
次に睡眠の質に関する調査結果では、「日中、眠気を感じた」と回答した人が男女共に30%を超え、「睡眠全体の質に満足できなかった」「睡眠時間が足りなかった」という人もそれぞれ約20%います。この結果から、睡眠の質に関して何かしら気になる点をもっている人が多く存在することがうかがえるでしょう。
なお、表では年齢別の結果は示していませんが、たとえば30代女性では「日中、眠気を感じた」と回答した人が最も多い一方(43.0%)、70歳以上の女性では「夜間、睡眠途中に目が覚めて困った」と回答した人が最も多い(32.6%)など、性別だけでなく加齢による悩みの変化もみられます。
さて、ここまで日本人の平均睡眠時間がいかに短いかを紹介してきましたが、「仕事や家事・育児などに追われて今以上の睡眠時間確保は難しい」「いったい何時間寝ればいいの?」と思う方もいるでしょう。次の項目で「適切な睡眠時間」の見つけ方について紹介します。
【出典】
「令和元年国民健康・栄養調査報告」(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/r1-houkoku_00002.html
「2023年世界睡眠調査」(ResMed)
https://sleepspot.resmed.jp/sleep-health/world-sleep-day-2023/
「Data: Was 2020 a Dumpster Fire? Health Edition」(Withings)
https://blog.withings.com/2020/12/29/2020-year-in-review-health-data-study/
適切な睡眠時間は人それぞれ
「理想的な睡眠時間は8時間」とされた時代が長くありましたが、2002年に「睡眠時間が約7時間の人が最も死亡リスクが低い」というアメリカの大規模調査(カルフォルニア大学・アメリカがん協会)の結果が発表されて以降、大きく様相が変わりました。
近年の研究結果では、6~8時間を理想としつつも、体質や生活などによる個人差が大きいため、自然に眠れて、日中眠くて困ることがない程度の時間を目安にするのがよいとされています。
つまり、適切な睡眠時間は人によって異なり「一概に何時間寝るとよいとは言い切れない」という訳です。また、遺伝子の影響で体質的に短時間睡眠や長時間睡眠の人もいますし、年齢によっても適切な睡眠時間は変化します。
そのため、睡眠時間の長短で測るよりも「日中に過剰な眠気がなければ必要な睡眠時間は足りている」と考える方向にシフトしているのが現状です。
実際、「健康日本21」の第三次計画(2024年始動)でも睡眠時間だけでなく、主観的に「睡眠で休養が充分とれている、まあまあとれている」と回答する者の割合の増加も目標になっています。
以上のことから、睡眠時間にこだわりすぎず、目覚めのよさや疲労感の取れやすさなどを基準にして、就床時刻と起床時刻をコントロールすることが重要になるのです。
【参考】
「健康づくりのための睡眠指針 2014」(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000047221.pdf
質の高い睡眠を取るために大切なこと
睡眠で十分な休養を取るために重要となるのが「睡眠の質」です。
睡眠の質は、熟睡感や寝心地、目覚め感、寝不足感の有無などの睡眠の満足度から主観的に評価されます。また、睡眠と覚醒のリズム、途中の覚醒が少ない安定した睡眠、昼夜のメリハリ、スムーズな寝入り、覚醒後のスムーズな行動なども評価の基準です。
睡眠の質には、身体の機能を調整する「自律神経」が深く関わっています。
自律神経は、互いに相反する働きをもつ二つの神経の総称です。身体を活発に動かすときに働く「交感神経」と、身体を休めるときに働く「副交感神経」からなります。
就寝前には交感神経の働きを抑えて副交感神経の働きを優位にすると、身体の興奮が落ち着いてリラックスした状態になり、スムーズな寝入りや熟睡を助け、睡眠の質の向上につながるのです。
就寝時に副交感神経の働きを優位にするホルモンが、脳内の松果体という器官から分泌される「メラトニン」になります。
●体内時計を整える
メラトニンが分泌されると眠気が生じ、自然な入眠をサポートします。メラトニンが夜の就寝前に分泌されるようにするためには「体内時計」を整えることが重要です。
体内時計とは脳の視床下部に存在する機構で、地球の自転による24時間周期に合わせて、体内の体温やホルモン分泌などの生体リズム(概日リズム、サーカディアンリズム)を調整する役割をもちます。
実は体内時計は放っておくと一日が長めにずれる傾向があるのですが、朝に光を浴びるとリセットされ、24時間周期に調整されるのです。体内時計の調整には人工の光よりも太陽の光が良いとされています。
体内時計が朝の光によってリセットされると、松果体からのメラトニンの分泌が抑制され、日中に眠気を感じないようになりますが、同時に約13時間後から徐々に分泌が始まるようにセットされるのです。
たとえば、朝の7時に光を浴びると20時頃からメラトニンの分泌が始まり、14~16時間後の21時~23時には分泌量が増え、自然な眠りをサポートするという仕組みになります。
●体温を上手くコントロールする
自然な眠気が生じるためには深部体温の低下も重要です。メラトニンが分泌されると手足からの放熱が盛んになり、深部体温が徐々に下がって自然な眠気が出現します。
深部体温の下がり幅が大きいほど眠りにつきやすいとされているため、メラトニンの分泌量の変化に合わせ、寝床につく1時間~2時間前に入浴したり温かい飲み物を飲んだりして体を温めておくのも良いでしょう。
【参考】
「良い睡眠」とは?睡眠の”時間”ではなく”質”が大事な理由と質向上のためにできること』(ハウスウェルネスフーズ株式会社)
https://www.house-direct.jp/contents/about-goodsleep/
「メラトニン(めらとにん)」(厚生労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-062.html
「睡眠について」(一般社団法人小郡三井医師会)
http://www.ogorimii-med.net/column/睡眠について
自分に合った睡眠時間を見つけるには?
前述のとおり睡眠時間は生活や体質などによる個人差が大きく、適切な時間は人それぞれです。年齢によっても大きく変わり、一般的に年齢が上がると睡眠時間は短くなります。
では、自分に合った「適切な睡眠時間」はどのようにすればわかるのでしょうか。その知り方・探し方を解説しましょう。
「適切な睡眠時間は人それぞれ」で説明したとおり、自分に合った睡眠時間を知るためにカギとなるのが「日中の眠気」と「日中の精神活動(頭の働き・心の動き)」です。
まず、生活との折り合いのなかで一定の睡眠時間(たとえば7時間や6時間など)を設定します。
2~3週間その時間を眠るようにしてみましょう(難しければ1週間だけでも試してください)。就寝時間・起床時間はなるべく一定にするのが望ましいです。また、朝起きたらなるべく太陽の光を浴びてください。
しばらく続けてみて、昼間に眠気が生じず、「頭がすっきりしない」「ぼーっとする」「気分が晴れない」など精神活動に影響が出なければ、それが「自分に合った適切な睡眠時間」といえるでしょう。
もし日中に眠気や精神活動への影響が出現したなら、設定した睡眠時間を延長してみます。
入眠に時間がかかる、朝予定よりも早く起きてしまうなどの場合は、睡眠時間を短縮しましょう。
時間の確保が難しい現代社会では睡眠の質が重要に
日本人の平均睡眠時間については、総務省が5年ごとに行う「社会生活基本調査」でも知ることができます。OECDの結果とは少し異なり、2021年の平均睡眠時間は7時間54分となっており、前回の2016年調査の7時間40分より増加しています。
同調査では日本人の労働時間も減少傾向にあるため、自分の時間や家族と過ごす時間、休息などが以前よりは重視される傾向があるようです。
しかし、紹介した「令和元年国民健康・栄養調査」の結果からもわかるように、平均睡眠時間が6時間以上7時間未満、5時間以上6時間未満の人は多く、20代~50代では6割を超え、慢性的な睡眠不足を訴える人もいます。
限られた睡眠時間で心身の休養をはかるためには、睡眠の質が重要になるでしょう。
規則正しい生活で体内時計を整え、体温を上手にコントロールし、質の高い睡眠が取れるように意識してみてください。