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肝機能の数値(AST・ALT・γ-GTP)の意味は?基準値内で高めの数値が気になったら?
2022/08/31
肝臓のはたらきとは?
肝機能の数値について理解するために、まずは肝臓とそのはたらきについて知っておきましょう。
肝臓は、成人で約800~1200gの重さがある大きな臓器です。再生する力を持つ特別な臓器で、大体1/3が残っていれば、機能することが可能です。また、数ヶ月で元の大きさに戻ることができます。
肝臓が担う大切な役割が代謝です。代謝とは、体内に取り込んだ栄養素を、からだを維持するために必要なものやエネルギーに変えたりすることを指します。
ほかにも胆汁の合成やアルコールの解毒作用など、肝臓はからだを健康に維持するために欠かせない役割を担っています。
肝臓の主な働きは次の3つ
① 代謝
肝臓はさまざまな栄養素を合成したり、貯蔵したりしています。余分なグルコースを取り込んで、グリコーゲンとして貯蔵します。貯蔵されたグリコーゲンは、必要に応じて分解されてグルコースとして血中に送り出され、エネルギーとして使われます。このようにして血糖値が維持されます。グルコースしかエネルギー源にできない脳にとって、肝臓の働きはとりわけ重要です。
肝細胞は脂肪を燃焼する能力が高く、空腹時のグルコースが枯渇している時期には、皮下脂肪や内臓脂肪が分解されて生まれた脂肪酸を取り込み、エネルギーに変えます。この時エネルギーの大部分は、ケトン体として肝臓から血液中に出ていき、筋肉や腎臓など他の臓器のエネルギーとなります。
コレステロールを合成しているのも肝臓です。
② 解毒
肝臓にはアルコールや薬物を解毒する作用があります。アンモニアは肝臓で尿素に変えられて、老廃物として排出されます。
③ 胆汁生成
肝臓には、食べ物の消化を助ける胆汁を合成する働きがあります。食べ物の中の脂肪を消化・吸収しやすくする働きを担っています。
肝機能数値の意味とは?
肝臓の状態を知るためには、肝機能の数値が参考になります。代表的な肝機能数値としては、AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTPが挙げられます。基準値内でも高めな人は、健康を維持するために気にかけておきたい値です。
※基準値の出典:日本人間ドック学会:検査表の見方「血液検査」
https://www.ningen-dock.jp/public/method#blood
AST(GOT)
ASTとは、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの略です。GOT(グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミラーゼ)とも呼ばれます。酵素の一つで、アミノ酸の合成や分解に関わっています。
ALTとともに「肝逸脱系酵素」と呼ばれています。
基準値は30U/L以下です。
ALT(GPT)
ALTとは、アラニンアミノトランスフェラーゼの略です。GPT(グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ)とも呼ばれます。肝細胞に多く存在する酵素で、肝細胞がダメージを受けると細胞から血液中にALTが染み出してきます。ALTを測ることで、肝臓の状態を知ることができます。
基準値は30U/L以下です。ALTが基準値内だけれどもやや高めという場合は、肝臓にやや負担がかかっている可能性が考えられます。日々の生活を少しだけ振り返ってみるのもよいですね。
γ-GTP
γ-GTPとは、γ-グルタミルトランスペプチダーゼの略です。ASTやALTが「肝逸脱系酵素」と呼ばれるのに対し、γ-GTPは「胆道系酵素」と呼ばれています。解毒作用に関わるグルタチオンの分解や生成に関与する酵素です。
γ-GTPは、アルコール量を測る値として知られています。禁酒によって値が低下するため、禁酒できているかの指標となります。
基準値は50U/L以下です。基準値内でも数値が高くなってきた場合には、生活習慣などを見直すよいチャンスかもしれません。
基準値内でも…肝機能数値が高めになる主な原因
基準値内だったとしても、肝機能数値が高くなることには注意したいものです。肝機能酵素値が高めになる原因としては、食生活の乱れや運動不足などが考えられます。
食生活の乱れ
肝臓には、グリコーゲンの合成とともに、脂肪の合成という機能があります。過剰なグルコースは脂肪に変わりますが、脂肪になると基本的にグルコースにはできず、溜まっていってしまうため、肝臓への負担が大きくなります。
暴飲暴食や不規則な食事時間などの食生活の乱れは、栄養過多をもたらし、肝臓に脂肪が蓄積され、肥満へとつながります。
運動不足
糖質は肝臓で脂肪に変換されますが、筋肉も肝臓と一緒に糖を取り込んでくれる存在です。つまり、運動をして筋肉を付けている人のほうが、筋肉の分だけ肝臓に負担が少なく済んでいるということになります。
また、運動をするとグルコースが消費されるため、脂肪に変わるグルコースの量を減らすことができます。このように、直接的ではないものの、運動不足は肝機能に影響しています。
基準値内でも高めの肝機能数値(AST、ALT、γ-GTP)が気になったときは?
肝機能を健やかに維持するにあたっては、食生活や運動などの生活習慣が関係しています。基準値内でも高めの肝機能数値が気になったときには、バランスのよい食事や適度な運動を心がけましょう。
栄養バランスのよい食事を心がける
肝臓を良好に保つには、バランスのよい食事を心がけることが大切です。運動は、肝臓への負担を少なくしてくれる心強い味方ではありますが、やはり適度なカロリー摂取が欠かせません。腹八分目の適度な量をバランスよく食べることで肝臓をいたわりましょう。
肝臓はからだの維持に欠かせない大事な役割を担っています。肝臓をいたわるには、AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTPといった肝機能の数値に注目してみましょう。基準値内であったとしても、バランスのよい食事を規則正しく適量摂ることを第一に、適度な運動をすることで、肝機能数値のみならず、からだ全体の健康維持向上につなげましょう。