素材研究部（兵庫県伊丹市）では、
さまざまなビタミンやスパイス、乳酸菌HK L-137
といった素材について、日々研究に取り組んでいます。
半世紀以上にわたるビタミンCなど栄養素に関する研究、
10年以上のウコン研究のノウハウを活かし、
安全で品質の高い商品を生み出すための
実験や研究論文執筆、
学会発表なども精力的に行なっています。
素材研究部には薬学、食品学、栄養学、植物学などさまざまなバックグラウンドを持つ研究者たちが在籍しています。私自身は、大学では海藻の成分について、大学院では胃がんの発生メカニズムについて研究し、入社後はおもにウコンエキスとビタミンCの研究に取り組んできました。
ウコンの品質を確認する試験や、ウコンの新たな可能性を見つけるための実験、特許出願の手続きや学会発表、社内の各部署との連携など、業務内容は多岐にわたります。一日中実験をしたり、データをまとめたりしている日もあれば、関係部署との打ち合わせで忙しい日もあります。
ウコンの持つ可能性を明らかにすることで、お客様が健康に生き生きと過ごすためのお役に立ちたいという想いが仕事のモチベーションになっています。「（ウコンには）こんな機能があるのではないか」と仮説を立てて、一つずつ検証していくプロセスが好きなので、毎日が楽しいです。本当に研究が好きなので、仕事を終えて家に帰った後、ついウコンのことを考えてしまう日も多いですね。
研究を進める中では、失敗すること、うまくいかないこともたくさんありますが、「今までわからなかったことが、わかるようになった」「いつの間にかできることが増えた」と自分の成長を感じられることが日々の喜びです。
一方でチームマネージャーとして、皆がやりがいを感じて笑顔で働ける職場を作りたいと考えています。実験がスムーズに進められるよう、意識的にメンバーに声をかけて意思疎通をはかることも心がけています。
研究した素材をもとに商品を作っていく過程では、社の内外を問わずさまざまな人とコミュニケーションをとる必要があります。誰もが専門用語を理解できるわけではないので、わかりやすく相手に伝えるための言葉の選び方、話す順番なども意識しています。研究成果を正確に理解してもらうことが、お客様に安全で高品質な商品をお届けする第一歩なので、コミュニケーションには気をつかいますね。
素材研究は当初の仮説通りの結果が出ないことも多く、商品開発に結びつく成果が出るまで、数年の時間がかかることも珍しくはありません。
なかでも、「臨床試験」は膨大な時間と費用をかけて実施するため、1年以上前から計画を立てて準備を始めます。関連する文献すべてに目を通し、試験対象となる方々の属性を詳細に確認してのぞみますが、重要な試験なのでやはり大きなプレッシャーを感じますね。
無事に試験が終わったら、今度は数十項目にわたる検査結果を一つひとつ分析して論文にまとめ、学術雑誌に投稿します。論文は、複数の専門家に細かくチェックをしてもらい、最終的に雑誌に載せる価値があると判断された場合に掲載されます。このように厳しい審査に通って、研究成果を論文として公表します。実験結果をまとめ、論文が公表されるまでにも、年単位の時間がかかり、とても苦労するところです。
研究は地道な積み重ねで外からは途中経過が見えにくいので「ずいぶん時間がかかるな」と思われることがあるかもしれません。それでも、お客様に商品を安心して使っていただくため、省略することのできない重要なプロセスです。
大変なことも多いですが、苦労を重ねた分だけ、私たちは研究の成果に自信を持っています。科学的にしっかりとした根拠があり、自分たちが心から良いと信じられる商品をお客様に届けるというゴールをイメージして、日々の研究と向き合っています。
長い時間をかけた研究が実り、さまざまな部署と連携してひとつの商品が出来上がったときには、まさに感無量、言葉では言い表せないほどの喜びを感じます。実際に商品を使ったお客様から「ありがとう」「いい商品だね」とご感想をいただくと、「この仕事をしていてよかった」と思いますね。
ウコンの新しい可能性をさらに探索していきたいです。ウコンについての研究を深める中で、ウコンにはまだ世の中に知られていない、さまざまな可能性が秘められていることがわかってきました。研究対象としては非常に面白く、興味が尽きない存在です。
ハウス食品グループではこれまで、ウコンやビタミンC、乳酸菌についての研究を行なってきましたが、今後はまったく新しい別の素材についても研究し、お客様に商品の形でお届けしたいという夢もあります。
まだまだやりたいことがたくさんあるので、これから私たちが生み出す商品にも、ぜひ期待していただけたらと思います。
